日本財団 図書館


 

潮風対談

004-1.gif

が対象になります。ですから、今までとガラリと変わったコンセプトとなるのは自然の流れです。その意味で、第十一回「海の祭典」を三重県でやって頂くのは大変意義があります。北川 この「海の祭典」によって、三重県を海から見直すチャンスにしたいと思っています。長い海岸線があるので、港湾の持つ機能を再発見したり、海を環境の面からもう一度考えて頂きたい、そういったことのきっかけになればと思っています。
帆船パレードを成功させたい
永井 三山県は自然に恵まれていますね。
北川 ええ、国立公園が二つあり、伊勢志摩国立公園が指定から五十周年、吉野熊町国立公園が同じく六十周年です。それと国定公園が二つ、県立の自然公園が五つありますので、公園が県土に占める面積の比率は全国で二番目です。「海の祭典」により、海と公園という観光資源とか自然を三重県人も含めて見直してもらえるきっかけになればと思います。
永井 「海の祭典」のメインイベントである帆船パレードは、「日本丸」「海星」「あこがれ」など一四〇隻による大パレードたそうですね。
北川 これはぜひ成功させたい。伊勢湾では初めてだと思います。津の沖から四日市港までを三時間くらいかけてパレードを行います。本当は尾鷲港から出発したかったのですが、帆船や随走するヨット、漁船の速度が違うので船団を組んで走るのが難しいのです。
それから、「海の祭典」の公場でパラオ共和国と三重県が友好提携を結びます。今年二月に、私が向こうへ行って話をしてきて、「海の祭典」に合わせて、パラオのナカムラ大統領に来ていただくことになりました。大統領のお父さんが、三重県ご出身なのです。水産業やサンゴなどの環境の研究のお手伝いをしようと思っています。三重県には水産高校がありますが、そこの練習船をパラオに入れて、スキューバダイビングとかパラオの学生と交歓させることもやりたいと思います。
永井 海は世外中に通じていますから、いろんなことが考えられますね。
北川 よくごぞんじの熊野灘ですが、ここに楯ケ崎という、柱状節理の素晴らしい景観の所があるんです。百メートルの絶壁で、東尋坊より規模が大きいと思いますが、これを見るとやっぱり海の道だなと思いました。ここは、南洋の植物の北限で、植物や昆虫が海流に乗ってきています。昆虫はここで越冬訓練し、適応できたものがそこから飛来します。
永井 そうですね。
北川 海流から見ると、徐福や神武天皇が紀伊半島の波田須や二木島に上陸した話は伝説とはいえ考えられることです。スペインやポルトガルがピレネーを越えるよりも、大航海を選んだのも海流と関係があると思うんです。
もう一つ、海面下三百メートルを流れる深層水も最近注目を集めています。
永井 まだまだ海は神秘性を持っているのですね。利用化と言っては変ですが、恩恵を受ける道はたくさんありますね。
北川 三重県には伊勢湾、英虜湾、五ケ所湾、的矢湾とか、真珠のふるさととして有名できれいな湾がたくさんありますが、長年の使用によって、ヘドロなどが溜っています。これを除去して固形化して使おうとか、肥料にしようとか本格的な研究を始めました。そのほ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION